西瓜




時:満月が東の空より昇り天頂に届く頃合
場所:とある居酒屋
登場人物:松本乱菊、檜佐木修兵





え?これ、いいんですか?
へー、お得意様サービス。
わー今年最初の西瓜だ。
俺も。
おばちゃん、ありがとー!
どーもー。
熟れてて美味しそうねぇ。
美味そう。
うっわ、冷えてる!
甘い!
さんざん酒飲んだ後に冷えた西瓜だなんて贅沢だなー。
美味いっスね。
うん、美味しい。たまには蕎麦より西瓜もいいわね。
ってこの季節しか食えませんて。
あぁそうか、残念。
……松本さん。
何?
今種飛ばしませんでした?
気のせいじゃない?
いや、明らかに俺の皿に飛んできた気がする。
気のせいよ。
ほら!
何。
今、ぷってやった!
仕方ないでしょ、種あるんだもの。
いや、種あるからって他人の皿に吹くことないでしょーが。
目の前にあんたの皿があるからいけないのよ。
何だよ、それ。
あ、そうだ、檜佐木。
何です。
種の飛ばしっこしよ。おばちゃん、ちょっと縁側借りてもいーい?





何で俺がこんなことに付き合わないといけないんですか……
統学院にいた頃はよくやったじゃないの。
あぁ西瓜割りをして。
そうそう、阿散井がよく騙されて西瓜代わりになったわよね。
無茶する人でしたよ、あんた。
その悪巧みに乗ってたのは貴方様ですけど。
一度真剣でやったときありましたからね……
あぁあのときは酔ってたし。
俺、縁切られる寸前でしたよ。
まーそれは可哀想だこと。
すげー他人事だ。
まぁ昔のことはいいじゃないの。ホラ檜佐木、種の準備はいい?
はいはい。
せーの!
―――お、松本さんの勝ち。
じゃあ……檜佐木、今好きな人いる?
いきなりそれかよ。
いる?
いますよ。別にこんくらいの年齢ならフツーでしょ。
ふぅん。
はい、第二戦。
オッケ。
せーの!
またあたしの勝ちか……
くっそー。
じゃあねぇ……それはもう付き合ってるの?
付き合ってませんて。俺に彼女いたらこんな風に松本さんと飲んでねぇ――っ!
檜佐木。
イタイ、イタイ、イタイ!!わ、わかったから関節技極めないで!
はい、じゃあ第三戦。
いってぇな、ちっきしょー。
いくわよ。
はい。
せーの!
何でまた俺負けるんだよ……
あんた、ホント弱いわね、飛ばすの。あっちも弱いのかと、
松本さん、セクハラ。
あはは、ごめんごめん。
俺のそーゆうの全部コレで聞き出したくせに。
弱いからいけないのよ。
俺なんかこれっぽっちも聞けてねぇよ。
あら、聞きたいことでもあったの?
そりゃーありますよ。誰もが聞きたくて、けど聞けないことがありますよ。
ふぅん。
つーか、次はぜってー勝つ。
頑張って。
せーの!





檜佐木。
はい。
次が最後ね。もう種ないし。
はい……
相変わらずあんた弱いわねぇ。
うるさいですよ。
とりあえず楽しい話が聞けたから良かったわ。
あーそうですか。
いつになったら聞けるのかしら、あたしの話。
知るか。
ふふ、いっつもそうやって膨れるのよね、あんた。
いっつもそーやって俺のことガキ扱いしますよね、松本さん。
それは仕方ないわよ。たとえ同席になろうと、あんたは一生あたしの後輩だもの。
まー、そりゃあ……
じゃ、ラスト。
はい。
せーの!
あ。
あれ。
あたしのは白い種よ。
俺のは黒です。
うわぁ、初めて負けた。
苦節何年かわかんねぇ……やっと勝てた……
負けたら負けたで悔しいもんね。たとえ遊びでも。
あーもう何だろ、この感慨。
おばちゃん、ありがとねー。庭汚しちゃった、片付け……あ、いい?ありがとー。
って、松本さん!何か逃げようとしてんだろ!
え?してないわよ。
してる。
してないって。
負けた方に勝った方が何でも聞いていいってルール決めたの、あんただよ。
あぁ、まぁそうだけど。
だから俺は聞きますよ。
……どうぞ?
答えてくれんでしょーね。
えぇ、正直に。
じゃあ聞く。
なぁに?
松本さん、あんた。











市丸隊長のこと、いつから好きなんですか?



















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