うなじ  浴衣  風鈴  花火  西瓜
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うなじ



浴衣を着て、なんとなく髪を結い上げてみる。



「隊長?お祭り行かないんですか?」

集光反射?行き際に通った隊舎の執務室の明かりに吸い寄せられるように立ち寄ってしまった。

仕事がまだ残ってる、と、小さな溜息を吐いた。

「お土産は何がいいですか?林檎飴?」

バカにすんな、と、眉を顰める。そして、虫を追い払うように掌でし、し、と。

咽喉の奥でくつくつと笑いながら、扉に手をかける。



「松本・・・」



呼ぶ声に、ゆっくり振り返った。



「明日も、髪、上げて来いよ・・・。」















浴衣


「浴衣って、結構暑いわよね。」

「いつもみたいに気崩せばいいじゃないですか。」

「なんか浴衣はピシッと着たいのよ。」

「なんか矛盾してません、松本さん?」

「いいのよ、伊勢。それが私らしいんだってさ。」

「『さ』?」

「隊長が。『お前は矛盾してるくらいで丁度いい』って。」

「・・・・・・それって、」

「・・・なに?」

「何でもないです。」

「なによ、気になるじゃない!」

「気になさらないで下さい。」

「もう。伊勢のそういうところ嫌いよ。」

「あ、ちょっと、松本さん!私の巾着」

「今日は伊勢は私の財布ね!」

「ちょ、なに人の財布で勝手に買い物してるんですか!」



(どんだけ甘やかしてるのよ、十番隊の隊長さんは!!)





矛盾してて丁度いいだなんて、我侭を許しているのと同じじゃない














花火


皆が河川敷での花火大会だ、と盛り上がっていた日に二人、執務室で残業。





昔は、音に怯え、徐々にその美しい火花に見とれ、いつの間にか、一瞬で散る夜空の花に何かを重ねては
切なくなる。

なんて勝手な生き物だろう。



どん、と低く、何度も響く打ち上げ音。



「・・・・・・集中、」

「え?何かおっしゃいました?」

「集中できねぇ。」

「何言ってんですか。朝一で提出する書類なんですからね。」

「行くぞ、河川敷。」

「・・・隊長」

「そういう顔すんな。書類なんか追い詰められればなんとかなるだろう。」

「私はここに残ります。」

「お前は俺についてくんだろ?」

「・・・・・」

「ほら、行くぞ。」

「こういうときばっかりそんな台詞使って。」













風鈴


風鈴を窓際に飾ると霊が寄ってくるのよ、と、俺の部屋の窓の外から声を掛けられた。



「なに人の寝室覘いてンすか。」

「アンタの裸なんか興味ないわよ檜佐木」



そう言いながら、眉を顰めて笑う顔が可愛い、なんて言えなくて。



「俺ら元々霊ですよ。」

「人間界ではそう言うの。先輩の言う事はきちんと聞いておきないさいよ」

「あぁ、年の功っ・・・痛!なんで殴るんですか!」

「あはは!ばーか!!」







そして、彼女は去っていく。





「松本、なに油売ってんだ!」

「あ、はい!今行きます!!」







後髪を靡かせて。彼女が去る風が風鈴を鳴らす。



一、二度、チリン、と。鳴って。

それから自分の爪で弾いた。





「あんな最高の霊が来てくれるなら、年がら年中飾っておくさ。」



そして、また、自分の爪を引っ掛けて。














西瓜


「種無し西瓜食べたい!」

「その方が食べやすくていいな。」

「風情がナイっすよ、副隊長。」

「・・・・・・君はまたそういうこと言うから。」





更木の悪いところは、副隊長を甘やかすところだ。



と、西瓜の種の攻撃を食らう斑目を見遣って日番谷は思う。



隊長、副隊長ともなれば仕事で手一杯で夏祭りのひとつも行けやしない。それ故か、行けるならば中々の優遇だ。
現にこうして特等席の櫓で西瓜を食べながら花火を見ている。





「種無し西瓜ねぇ。」



独り言のように呟いた乱菊を日番谷が視線で見上げた。



「お前も食いたいのか?」

「いえいえ。」



少し顎を引いて、何かを思い出すように乱菊は目を瞑りながら微笑んだ。



「普段あるものがないとなんか嫌じゃないですか?それに・・・」



「?」



「ゆっくり種取りながら食べる時間もいいものですよ。」



ふぅん、と、何度か小さく頷いて視線を外す。その先には十三番隊の面子。











「ほら、副隊長、大人の女はあういう風に考えるんですって。」

「・・・・・・君はまた、そういうこと言うから。」







やっぱり西瓜の種の攻撃を食らう斑目を見遣って日番谷は思う。







これがうちの副隊長なんだぜ?





鼻高々に自慢したいのをぐっと飲み込んで。














コメント:
本当にお目汚しで申し訳ありません!夏らしいお題を堪能させていただきまして、当人は自己満足中です。







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